塾用教材の選び方
近年、ITの活用により塾で使用する教材も幅広いものを目にするようになりました。
この記事では、先生方の塾にとってどんな塾用教材が適しているのかについて触れたいと思います。教材選定のご参考にしていただければ幸いです。
塾用教材の種類
以前の学習塾では、紙の参考書・問題集を画一的に使用することが多かったと思います。生徒のレベルに合わせると言ってもクラスごとに異なるものを使用する程度のことだったのではないでしょうか。
しかし近年、ITによって生徒の学力に合った教材を個別に提供することが可能になり、その存在感がとても大きくなってきています。
ここでは、塾用教材を分類したときに大きく分けられる2種類についてご説明します。
テキスト教材
以前からある紙の参考書・問題集の形式です。
何と言っても歴史があり、様々な改良が積み重ねられてきているのがテキスト教材の強みです。保護者の方にとっても教材としてイメージしやすく教材費の徴収に余計な説明は不要です。
近年は、付属のDVDやQRコードから動画解説が見られたりするなど、デジタル要素も取り入れたハイブリッドなものも出てきていて、活用の幅が広がってきています。
一方で、テキスト教材はターゲットとしている学力層の生徒では効果を発揮しますが、それ以外の学力層の生徒にとっては活用しきれないことが多いようです。簡単すぎて退屈したり、難しすぎてモチベーションが下がったりします。また近年は学力も多様化しており、あるレベルのテキスト教材が最初から最後までフィットする生徒というのは、思っているよりも少ない現状があります。買って始めてみたものの、合わないからすぐに他のレベルのものに換えるというのも難しいです。
また、紙などの原材料費も上がってきています。書き込み式のものは分厚くなりがちでその分導入コストも上がります。
デジタル教材
ITの活用によって市場に登場して以来、急速に存在感を増してきているのがデジタル教材と言われる種類のものです。「データベース教材」とも呼ばれたりします。
デジタル教材の強みは何と言っても、それぞれの生徒の学力に合った教材を細かく提供できることにあります。文科省の提唱する「個別最適化された学び」というワードとも親和性が高いです。また、データベース教材と言われるだけあって、収録されている問題数もテキスト教材とはけたが違います。自分に合ったレベルの問題をたくさん演習できるという点で、デジタル教材は教育現場を大きく変えたということができるでしょう。
手書き機能やクイズ形式でIT端末の中だけで完結するだけのものもあれば、やはり「紙に書くこと」を重視してプリントを印刷する形のものもあります。最近ではAIを搭載して、先生や生徒自身が気づかないような視点から教材をレコメンドしてくるようなものまで出てきています。
ただ、デジタル教材の学習効果についてはまだまだ知見が得られていないことも確かです。画面の見過ぎなどによる健康効果についても懸念が示されています。先生ではなく画面と向き合っていて本当に勉強しているのかと感じる保護者も一定数いるでしょうから、そうした面での説明も必要かもしれません。また、パソコンやタブレットといった機器を揃えて維持管理していかなければならないので、その分のコストは計算に入れておく必要があるでしょう。
塾の運営スタイルから選ぶ
以前は学習塾と言えば、教え上手な講師がホワイトボードの前に立ち、30人くらいの生徒に一斉に授業をするスタイルが一般的でした。一人の講師が同時に多くの生徒を見られるため、コストパフォーマンスに優れていました。しかし、その方法だと多様な生徒の学力をそれぞれ上げていくのは難しいことがわかりました。いくら運営効率が良くても、生徒の成績が上がらなければ継続は見込めません。
そこで生まれたのが個別指導スタイルで、1対2、1対3というように講師がほぼつきっきりで生徒の勉強を見る形です。少子化の影響で多くの生徒を同時間帯に集めて授業することが非現実的となったこともあり、現在では学習塾の最もポピュラーなスタイルになりました。ただ、個別指導は人件費の割合がとても大きいため、利益率がとても低いことがネックです。
そして近年のITの活用により、学習が「個別最適化」できることによって生まれた新しいスタイルが、「生徒がそれぞれ自分で学習を進めていく自立学習」スタイルです。一斉授業の「コストパフォーマンス」と個別指導の「それぞれの学力に合った学習」とを両立できる形として注目されています。
ここでは、それぞれの教室運営の手法に合った教材の選び方についてご説明します。
一斉授業
一人の講師が授業をリードしていくため、生徒が参照するテキストは自ずと一種類になります。学校では近年デジタル教科書が普及してきていますが、塾で使用するテキストではまだそのようなものはあまり見られません。従って、紙のテキストや参考書を使用するのが最も自然だと思われます。この運営スタイルは良くも悪くも講師の授業力に全てかかっています。使用するテキストについても、講師が最も授業を効果的に進めやすいものを選ぶのがよいでしょう。
個別指導
このスタイルでは、講師は担当する生徒の学力に最も合った教材を選定します。家庭教師に近い形のため、学校で配布される教材で事足りるのであれば教材を別に購入する必要がないケースもあります。いずれにしても、受け持つ生徒の数が少ないとは言え、教材の情報に精通している講師でもない限り教材研究にかかるコストは非常に大きくなります。また、生徒と接するのは基本的に講師であって塾長ではないため、生徒管理の機能が充実した教材を選ぶとよいでしょう。ただ、デジタル教材を使用するのであれば、講師と生徒とで同時稼働する端末数が多くなりますので、機器の配備にかかるコストも計算しておく必要があるでしょう。
自立学習
前述した通り、自立学習はITによって「個別最適化された学び」が実現したことが前提にあるスタイルですので、デジタル教材を使用することが必須と言えます。生徒が自分で学習を進めると言うと聞こえはよいですが、どんな教材を使ってもそれが実現できるほど甘くはありません。自分で学習を進めるのに必要なモチベーションを喚起するような仕掛け、講師の適度な声かけができるタイミング、小学生でも操作できるシンプルな仕様がそろった教材を選定しなければなりません。自立学習用に作られていない教材を生徒に与えて自分で進めなさいと言うのは、自立学習ではなく自習です。面談や見学の際に保護者から指摘を受けて困ってしまうことにつながるでしょう。自立学習には自立学習用の教材が必要です。
さいごに
ここまで、塾用教材の種類やその選び方について書いてきました。最後まで読んでいただきありがとうございます。
ちなみに日本コスモトピアのご提案しているSelfeeはどれにあたるかと言いますと、「デジタル教材」でありながら、紙に書くことを大切にしたプリントを印刷する形の教材です。そして何と言っても「自立学習用に作られた教材」で、30年以上、学習塾の現場で活用され改良してきました。もし、これを読まれた先生が自立学習スタイルで運営されるのであれば、ぜひとも一度Selfeeを使っていただきたいです。
日本コスモトピアでは、先生の学習塾の現状に適した教材のご相談もお受けしております。ご興味ある方はぜひご検討いただけますと幸いです。
塾用教材にも色々な技術が導入され、学習塾は多様な学習スタイルを実践することが可能になりました。先生方がご自身の塾に合った教材に出会えることを願っております。